離婚をする際に、子どもに不自由な想いをさせないためにも、しっかりと養育費について話し合いをしましょう。離婚して、夫婦は他人になったとしても、親子関係は途切れることはありません。離れて暮らすことになった親にも、養育費で扶養の義務を果たす必要があるのです。

「そもそも養育費は、どのようなものが含まれているのだろうか…?」

「養育費は、子どもが何歳になるまで支払うものなのだろうか…?」

「養育費を一括で支払うことはできないのだろうか…?」

養育費の支払金額、支払期限、支払方法はどのように定めていくのでしょうか?この記事では、養育費について分かりやすく解説します。

養育費とは

養育費とは、子どもが安心して暮らすために必要な費用のことです。衣食住のほか、教育費や医療費、お小遣いなど適度な娯楽費も含まれています。経済力に応じて養育費を分担していきますが、子どもを引き取る親(監護親)に対して、引き取らない親(非監護親)が養育費を支払うものです。

離婚の原因に関係なく養育費は支払われるもので、子どもから親へ請求することもできます。2011年には、民法の改正が行われて、子どもの利益を最も優先して、養育費について離婚協議をするべきであると定められました。

養育費の支払金額

養育費の支払金額には、法的な規定は定められていません。父母の収入や財産、生活レベルに応じて、当事者の話し合いで決めていきます。

養育費の算定方法として、東京・大阪の裁判官が共同研究した「養育費算定表」が、参考資料として広く活用されています。養育費算定表の金額は、あくまでも目安です。しかし、養育費の支払金額を決める際に役立つでしょう。

養育費の支払期間

養育費の支払い期間についても話し合いで決めます。家庭裁判所の調停や審判の場合は、子どもが成人する(満20歳)までを対象とするのが一般的です。しかし、高校卒業(満18歳)や大学卒業(満22歳)までとすることもあります。

養育費の支払方法

養育費は、話し合いで決めた期限まで、毎月一定額を金融機関に振り込む形で支払うのが一般的です。子ども名義の銀行口座を作成して、作成した講座に振り込むようにしましょう。

また、長期間に渡って支払う経済力がないと思われる場合や、信用がおけない倍には、一時金として、離婚時に養育費を受け取る方法もあります。しかし、一時金としての支払いは、相手が承認した場合のみ有効となります。

養育費の請求手続き

養育費の請求手続きの方法は、主に3つの方法があります。

1.話し合いで決める

一般的には、夫婦による話し合いで養育費について取り決めていきます。養育費の支払いは、長期間に及ぶため、不払いのトラブルも少なくありません。そのため、養育費に関する内容(金額・支払期間・支払方法)を決めたら公正証書に残しておきましょう。

公正証書に取り決め内容を残しておけば、支払いが滞った場合でも、裁判を起こさずに相手方の給料や財産を差し押さえられるなど強制執行が適用できます。

2.家庭裁判所の調停で決める

離婚に合意したけれど、養育費について折り合いがつかない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。離婚調停と同時に申し立てるのが一般的です。しかし、養育費の請求だけでも申し立てができます。

申し立て人は監護者で、申し立て先は、相手方の住所所在地の家庭裁判所です。また、双方が合意して定める家庭裁判所でも申し立てができます。また、監護者が代理人となって、子ども本人が申し立てることもできます。

3.家庭裁判所の裁判で決める

家庭裁判所の調停でも折り合いがつかない場合には、裁判による審判に移行します。双方の収入や財産などを調査して、養育費の額が計算されます。監護者や非監護者の納得がいく結果ではなくても、裁判審判の判決には従わなければいけません。

養育費に関する良くある質問

養育費の取り決めは難航することが多いです。ここでは、養育費に関する良くある質問をご紹介します。

Q.養育費と面会交流に関係はありますか?

養育費と面会交流は相関関係がありません。養育費を払っていることを理由に面会交流をさせる義務は発生しません。

しかし、子どもを引き取った側は、別れた相手と子どもを会わせたくないと思っていても、理由もなく、子どもとの面会を拒否することは認められていないので、気をつけてください。

相手に会うことが、子どもの福祉に害をある場合は、面会交流の拒否や制限をすることができます。暴力を振るう、一方の親の悪口を言う場合や、子どもが面会を嫌がる場合は面会交流を拒否できます。そのような問題がない場合は、理由もなく面会を拒否することはできません。

Q.養育費が不払いになった際の対処法は?

養育費が不払いになった際の対処法は、公正証書の有無によって変わってきます。

公正証書がある場合は、強制執行の制度が活用できます。家庭裁判所に申し立てをして、相手方の預貯金や不動産などの財産を差し押さえて取り立てることが可能です。差し押さえの範囲は1/2までです。

公正証書がない場合は、強制執行ができないため、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に調停を申し立てます。調停で解決できない場合は裁判に移行します。また、離婚を専門にする弁護士に相談をして取り立ててもらう方法もあります。

Q.養育費の請求期限はありますか?

養育費の請求権利は、放置すると消滅します。このような法律上の決まりを、消滅時効といいます。離婚協議で取り決めたのか、家庭裁判所の調停や裁判で取り決めたのかで、消滅時効は異なるので気をつけてください。

[養育費の請求期限]

離婚協議書で双方が合意した場合…支払期日から5年(民法166条1条1号) 家庭裁判所の調停や裁判による場合…支払期日から10年(民法169条1項)

Q.塾代が高額のため増額請求することはできますか?

養育費の支払いは長期に渡るものなので、さまざまな状況の変化に応じて、離婚時に決めた養育費の額を変更することも可能です。養育費の変更については、双方の話し合いによって決めます。話し合いで折り合いがつかない場合は、家庭裁判所に調停の申し立てをします。

離婚時に養育費を一時金の形で受け取っている場合でも、増額請求の主な理由に該当すれば、改めて養育費を請求することも可能です。

[養育費の増額請求の主な理由]

・子どもの進学や授業料の値上げによって、教育費が増加した

・子どもの病気や怪我で多額の医療費が必要になった

・監護者の病気や怪我で収入が低下した

Q.再婚した場合には養育費は減額されますか?

監護者が増額請求できるように、非監護者も、さまざまな状況の変化に応じて減額請求できます。再婚相手が家族全体の生活費を負担するのであれば、減額請求が認められる可能性が高くなります。

[養育費の減額請求の主な理由]

・リストラや倒産、事業の失敗で収入が低下した

・病気や怪我で収入が低下した

・監護者が再婚や就職して経済的に安定した

Q.養育費は課税対象になりますか?

相手から養育費を受領しても、所得税は課されません。養育費は話し合いで決めた期限まで、毎月一定額を金融機関に振り込む形で支払うのが一般的です。しかし、将来の養育費を一括で支払いを受けるなど、財産を贈与された場合には課税対象となることもあります。

まとめ

養育費の金額や支払期限、支払方法に関しては、夫婦双方の話し合いで決めていきます。大切なお子さまが安心して暮らせるように、しっかりと話し合いをしておきましょう。

しかし、離婚の際に話し合いが難航しやすいのが、お金に関する話し合いです。養育費の金額で同意が得られないという家庭も多いです。このような問題が発生した場合は、離婚問題の解決を得意とする弁護士に相談をしましょう。

弁護士に相談をすれば、有利な立場で離婚の話し合いを進めていくことができます。どこに依頼すべきか迷われた方におすすめのサービスが「相談サポート」です。相談サポートには、離婚問題を解決してきた実績を持つ弁護士が在籍しています。ぜひ、養育費に関する悩みを抱えている方は「離婚サポート」を利用してみてくださいね。