養育費など、お金に関する取り決めは双方の納得が難しく話し合いが難航しやすいです。

「世間一般の方は、どれぐらいの養育費を受け取っているのだろうか…?」

「各自の年収によって、養育費の金額は変わるのだろうか…?」 「我が家の世帯年収の養育費はいくらなのだろうか…?

読者様の世帯年収や子どもの人数に応じた養育費の平均相場を把握しておけば、納得しやすくなり、話し合いがスムーズに進むことも多いです。そのため、養育費の平均相場について理解を深めておきましょう。

【全国】養育費の平均相場

「離婚経験者の養育費の平均相場はいくらなのだろう?」と気にされる方は多いです。実際に、養育費の平均相場はどのぐらいなのかを確認しておきましょう。

全国平均相場は「約4万円」

養育費の金額に法的な規定はなく、基本的に父親と母親の話し合いで決められます。家庭裁判所の調停や審判によって定められた養育費は、子ども1人つき約4万円以下が平均相場となっています。

司法統計「離婚の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち母を監獄者と定めた未成年の子有りの件数-夫から妻への養育費支払額別子の数別」によると、月額払いの場合と、一時金として支払う場合の平均相場が変わってくるため、それぞれの平均相場を把握しておきましょう。

[月払い]養育費の平均相場

養育費の月額費用割合
1万円以下5.1%
2万円以下14.4%
4万円以下37.6%
6万円以下22.2%
8万円以下8.5%
10万円以下5.1%
10万円を超える5.8%
額不定1.3%

[一時金]養育費の平均相場

養育費の一時金の金額割合
30万円以下26.9%
50万円以下6.5%
70万円以下2.1%
100万円以下5.1%
200万円以下8.4%
300万円以下3.7%
300万円を超える13.7%
額不定33.6%
※一時金とは:夫婦の合意があれば、養育費の一括払いが認められます。基本的に養育費は月額払いが一般的です。

養育費の目安となる「養育費算定表」

世帯年収や子どもの人数によって、理想とする養育費は異なってきます。これらを加味した平均相場は、養育費算定表から計算できます。世帯の事情を加味した養育費の相場が把握できるように、計算できるようになりましょう。

養育費算定表とは

養育費算定表とは、東京家庭裁判所と大阪家庭裁判所の裁判官が司法研究して公表した養育費を算定する際に使用できる算定表です。2019年12月23日に新たな養育費算定表が公表されました。これらは、裁判所の公式ホームページ上で公開されています。

 子どもの年齢養育費算定表
子どもが1人の場合0歳~14歳表1
15歳以上表2
子どもが2人の場合第1子:0歳~14歳
第2子:0歳~14歳
表3
第1子:15歳以上
第2子:0歳~14歳
表4
第1子:15歳以上
第2子:15歳以上
表5
子どもが2人の場合第1子:0歳~14歳
第2子:0歳~14歳
第3子:0歳~14歳
表6
第1子:15歳以上
第2子:0歳~14歳
第3子:0歳~14歳
表7
第1子:15歳以上
第2子:15歳以上
第3子:0歳~14歳
表8
第1子:15歳以上
第2子:15歳以上
第3子:15歳以上
表9

参考元:裁判所「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」

養育費算定表の見方

  1. 裁判所の公式ホームページに掲載されている表1~9の中から適正な表を選ぶ
  2. 縦軸から養育費の支払い義務者の該当年収を探す
  3. 横軸から養育費の受取権利者の該当年収を探す
  4. (2)と(3)で求めた数字が交わる箇所の養育費の相場を確認する

(※縦軸と横軸の年収欄では、外側の数字が給与所得者、内側の数字が自営業者の数字となります。)

養育費の計算事例

子どもの人数2人(満5歳と満12歳)
義務者の年収給与所得者で年収680万円
権利者の年収自営業者で年収300万円

養育費算定表の注意点

養育費の金額は法的に定められておらず、母親と父親の双方の話し合いによって決めていくものです。そのため、養育費算定表の平均相場に絶対に従わなければいけないものではありません。

夫婦の合意が得られれば、いくらに設定しても構わないのです。しかし、金銭的な取り決めは難航することが多いため、話し合いがスムーズに進まない場合は、平均相場を参考にしてみましょう。

[年収別]養育費算定表を基に考える費用相場

簡単に調べられるように、年収別の養育費の平均相場をご紹介します。ここでは、合計特殊出生率1.36%(1人の女性が生涯に出産する子どもの数)、女性の平均年収293万円を参考にして、計算しています。

年収200万円

満0歳~満14歳満15歳以上
給与所得者1~2万円1~2万円
自営業者1~2万円2~4万円

年収300万円

満0歳~満14歳満15歳以上
給与所得者2~4万円1~2万円
自営業者2~4万円4~6万円

年収400万円

満0歳~満14歳満15歳以上
給与所得者2~4万円4~6万円
自営業者4~6万円4~6万円

年収500万円

満0歳~満14歳満15歳以上
給与所得者4~6万円4~6万円
自営業者6~8万円6~8万円

年収600万円

満0歳~満14歳満15歳以上
給与所得者4~6万円6~8万円
自営業者6~8万円8~10万円

年収700万円

満0歳~満14歳満15歳以上
給与所得者6~8万円6~8万円
自営業者8~10万円10~12万円

年収800万円

満0歳~満14歳満15歳以上
給与所得者6~8万円8~10万円
自営業者10~12万円10~12万円

年収900万円

満0歳~満14歳満15歳以上
給与所得者8~10万円10~12万円
自営業者12~14万円14~16万円

年収1000万円

満0歳~満14歳満15歳以上
給与所得者10~12万円10~12万円
自営業者12~14万円14~16万円

養育費に関して良くある質問

養育費の平均相場と併せて、良くある質問を確認しておきましょう。

Q.相手が平均相場の養育費の支払いにも同意しない場合は?

平均相場の養育費の支払いを提案しても、相手が同意しない場合は家庭裁判所に調停の申し立てをしましょう。特別な事情がない限り、養育費算定表で計算された金額の請求はできます。(※特別な事情とは、離婚した相手が再婚して、再婚相手が養育費を負担することになった等が挙げられます。)

Q.平均相場より高い養育費を請求したい場合は?

夫婦で話し合った結果、双方の同意が得られるのであれば、相場よりも高い養育費の請求はできます。しかし、金銭的な話し合いは双方が譲らないケースが多く、難航しやすいです。そのため、相場より高い養育費を請求したい場合は、離婚問題の解決を得意とする弁護士に相談をしてみましょう。

養育費の交渉をはじめ、場合によっては、婚姻費用、慰謝料などの請求ができるかもしれません。

Q.親権を持つ側の所得が多くても養育費は請求できますか?

親権を持つ側の所得が多くても、相手に養育費の請求はできます。しかし、所得が上がるほど、請求できる金額は少なくなってしまう傾向があります。夫婦が別れたら、赤の他人となりますが、親子の関係が切れることはありません。

大切なお子さまを気にかけているということが伝わるように、少額でも養育費をもらっておいても良いかもしれません。

まとめ

離婚の際に、お金に関する話し合いは難航することが多いです。双方が落ち着いて話し合えるように、養育費に関する取り決めを行う場合には、平均相場を参考にしてみましょう。しかし、養育費の平均相場を算出しても、相手が支払いに合意しない場合もあります。

このようなトラブルを抱えた場合は、離婚問題の解決を得意とする弁護士に相談をしてみてください。弁護士に相談をすれば、優位な立場で交渉を進めていくこともできます。

離婚に関する相談は、豊富な実績を持つ「離婚サポート」がおすすめです。ぜひ、離婚サポートをご利用されてみてくださいね。